宇宙誕生の起源となった138億年前の大爆発「ビッグバン」
ビッグバン現象

20世紀初頭、宇宙は大きさの変化しない「通常宇宙」という考えた方が主流でしたが、1929年にアメリカの天文学者エドウィン・ハッブルが銀河が遠ざかる様子を観察し、宇宙が膨張・進化すること発見しました。

宇宙が膨張しているという考え方自体は存在していたのですが、あくまでも方程式上のものに過ぎませんでした。

しかしハッブルが、銀河のスペクトル線の赤方偏位(遠ざかる光のスペクトルがズレる現象)が距離に比例して大きくなることを発見したが裏付けとなり、宇宙が膨張しているという考え方が一躍主流となったのです。

もし「宇宙が膨張している」という考え方が正しいのなら、宇宙の始まりは点だったのではないかという考えが生まれました。膨張・進化する宇宙の過程を遡っていくことで、宇宙がどのように誕生したのかを考えてみましょう。

宇宙には、恒星、銀河を始めとするさまざまな物質に溢れています。恒星は進化し、いつか一生を終えても、星間物質となって、新たな星々となり、宇宙全体の物質量に変化はありません。

時間をさかのぼると、宇宙空間は縮小します。そのため、物質は小さな範囲に押し込められ、密度が濃く、超高温の火の玉のような世界な始まりとなります。これが138億年前に大爆発を起こした「ビッグバン」で、宇宙誕生のきっかけとなったと考えらています。

ビッグバン直後に素粒子が生まれ、約3分後には水素とヘリウムの原子核が誕生しました。1965年にビッグバンが起きた証拠と考えられる「宇宙背景放射」というマイクロ波が観測され、宇宙の誕生=ビッグバン説が有力となりました。

銀河

ビッグバンによる宇宙誕生説は有力視されていたものの、そもそもの火の玉が誕生した理由は当初、明らかになりませんでした。これを説明したのが、ビッグバンの前に「無」の状態から宇宙の種が誕生したという「インフレーション理論」です。

インフレーション理論によると、宇宙の種は真空のエネルギーを持っていて、このエネルギーが持つ急膨張する性質によって宇宙の種が瞬時に膨張しました。

その結果、宇宙が急激に冷やされて真空が「相転移」という現象を起こし、この時に解き放たれた莫大な熱エネルギーが火の玉を作ったと考えられています。

膨張し続ける宇宙の行方については、3つの可能性があるとされています。一つは、永遠に宇宙は膨張を続けるという「開いた宇宙」という考え方です。2つ目は、膨張率が徐々に低下し、いつかはゼロになるという「平坦な宇宙」と呼ばれるもの。3つ目は、宇宙の膨張は止まり、今度は収縮が始まり、最終的には消滅するという「閉じた宇宙」と呼ばれる考え方です。

膨張する速度と宇宙の物質量から味蕾の宇宙像を割り出す試みはあるものの、まだ明確にはなっていません。